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【今さら人には聞けないEV生活の基礎知識】充電スタンドの種類や探し方、電欠しない充電の仕方など、基本中の基本をお教えします

充電方法は、決済手続き後に差し込むだけ

EVの充電方法は3タイプある

これから電気自動車(EV)を購入しようとしている人にとって、心配となるのが充電についてではないでしょうか。EVの充電には、自宅で行う「基礎充電」、ドライブの途中で行う「経路充電」、そしてドライブの目的地先(観光スポットや商業施設、ホテルなど)で行う「目的地充電」の3タイプがあります。また、充電には普通充電と急速充電の2種類が存在します。

一軒家なら「基礎充電」がベスト

EVをこれから購入し、一軒家に住んでいるなら、「基礎充電」として自宅に充電設備を設置するのがベストだ。例えばパナソニックの壁面取り付けコンセントタイプの普通充電器なら本体価格1万円前後と、そこまで高いものではないが、200Vの工事費は別途で合わせて7~8万円が相場となる。

この普通充電器が家にあれば、深夜など、クルマを使っていない時間帯に充電することができ、効率的だ。その際、車両に付属またはオプションで購入できる車載充電ケーブルが必要になる。ただし、自動車メーカーも用意しているウォール型と呼ばれる充電器は充電器本体にケーブルが付属しているから、そのままクルマの充電口に差し込むだけと、車内に充電コードをしまっておく必要がないメリットがある。

1例を挙げると、日産「サクラ」を3kWの普通充電器で充電すると、満充電に8時間かかる計算になる。バッテリー容量の大きいスバル「ソルテラ」の場合は約12時間だ。それでも、夜7時に帰宅して充電を開始すれば、翌朝7時には満充電になり、安心してドライブに出発できるというわけだ。

充電カードを発行し「経路充電」で電欠を防ぐ

つぎに「経路充電」は主にケーブル一体型の急速充電となり、高速道路のSA/PA、コンビニ、道の駅などに設置されている充電器を利用する。

そして「目的地充電」では施設によって普通充電/急速充電が混在している。利用する場合は、基本的にユーザー登録、充電カードの発行が必要で、充電器にカードをタッチすることで認証され、充電を開始する仕組みとなっている。

充電カードを持っていない場合は、クレジットカードや電子マネーでの決済も可能だが、EVを購入したら、充電カードを発行するのが基本である。ただし、「経路・目的地充電」における急速充電は多くの人が利用するため、30分までの充電となる。

日産サクラの例を挙げると、50kWの急速充電器で80%充電までに40分かかることから、実際には80%までの充電には至らない。もっとも、充電0%で駆け込むようなことはないから、80%充電も可能となる。

なお、2024年頭のデータでは、充電スポットは全国に3万2000カ所以上に達しているが、それでもドライブ先のどこにでもあるわけではない。充電インフラのさらなる拡大が望まれるのだが、恐れることはない。ガソリンスタンドは減る一方だが、充電スポットはこれから増え続けていくからだ。あと約5年後の2030年には現在の10倍に増えている(かも知れない)という説もある。

ちなみに、自宅などでの普通充電と急速充電にかかる電気代、費用だが、圧倒的に普通充電のほうが安く済む。月に1000km走ったとして、普通充電なら1/2~1/3ぐらいのコストで済み、EVをよりリーズナブルに利用することができるようになる。

スマホでいつでも充電施設を確認できるようにしておく

さて、実際にEVを購入し、自宅に普通充電器を設置したとしても、ロングドライブでは「経路/目的地充電」が必要になるケースがある。そんなときに役立つのが、スマホやタブレット、パソコンで検索できる充電インフラネットワークだ。

例えば東京電力グループの「e-Mobility Power」は全国の公共充電スポットを網羅。普通のみ、急速のみ、普通+急速といったデータから、使用休止の情報も入手可能。そのほか、「EVsmart」、「GoGoEV」など民間サービスのEVの充電器検索、充電スタンド・スポット口コミサイトもあるから(EVsmartは全国2万1185カ所)、EVユーザーの強い味方になってくれるはずである。

また、EVに装備されるナビゲーションにも充電スポット検索機能があり、現在地から近い充電スポット、あるいは目的地に近い充電スポットを案内するとともに、ルート案内を開始してくれる機能もあるから心強い。

そうした充電スポット案内の最新機能と言えるのが、2024年冬からホンダの新型軽商用EV「N-VAN e:」と連携を始める「EVカーナビ by NAVITIME」だ。

その説明には次の通り記されている。

「車種ごとに航続距離予測を算出し、バッテリー残量の少なくなる地点付近のEV充電スタンドを自動で経由地に追加するEVならではのルート検索のほか、様々な条件で絞り込みのできる『EV充電スタンド検索』など、カーナビの基本機能に加えて、一般的にガソリン車と比べて航続距離が短く、充電時間を要するEVの走行をサポートする機能を搭載した専用カーナビアプリです。本連携では、『EVカーナビ by NAVITIME』のアプリ内にてHonda Total Careアカウントでログインすることで、車両のバッテリー残量を直接車から取得できるようになり、これにより、精度の高い航続可能距離予測が可能となるため、経路上の最適な充電場所を考慮したルート検索や、走行可能範囲の地図表示機能、バッテリー残量低下アラート機能などを予定しており、EVならではの長距離運転への不安を解消する案内やナビゲーションを実現します。また、『EVカーナビ by NAVITIME』で検索した、経路上の充電場所を考慮したルートの目的地・経由地をHonda純正車載カーナビゲーションへ送信する機能も予定しています。車両と直接連携することで、アプリ内で事前に車種登録をしたり、都度バッテリー残量を手入力することなく、より手軽でシームレスに、正確なバッテリー残量に基づいたEV専用カーナビの機能をご利用になれます。最適なタイミングでの充電場所と充電時間を考慮したルート探索技術で、EVドライバーの航続距離や充電時間に関する不安やストレスを軽減するとともに、CO2排出量削減にも貢献できればと思っております」

補足すれば、充電スポット周辺の立ち寄り先情報も得られ、充電時間を「待つ」のではなく、「楽しく過ごす」ことも可能とのこと。料金はダウンロード無料。ナビゲーションやVICS渋滞情報などの機能は月額600円(消費税込)となっている。残念ながら、終売しているホンダのEV「HONDA e」には適用されないとのこと……。

充電に不安があっても「目的地充電」が可能な箇所を設定すればOK

いずれにしても、これからEVの購入を検討し、充電に不安があっても、「基礎充電」「経路充電」「目的地充電」を理解し、満充電で出発し、走行可能距離を頭に入れ(メーターにも刻々と表示される)、ロングドライブでもドライブプラニングに充電スポットを組み入れ、「目的地充電」が可能なホテルなどの目的地を設定すれば解決。よほどのこと(充電スポットにEVが並んでいる、充電スポットが使用不可になっているなど)がない限り、電欠! という最悪の事態は避けられるはずである。

もちろん、EVでロングドライブを行う機会が多いならば、バッテリー容量、航続距離の長い(メーカー公表値の70%と考えたい)EVを選ぶべきである。一方、近所を走るだけの用途なら、日産サクラのような、航続距離は短くてもリーズナブルに乗ることができるEVを選択しても問題はないはずだ。

ちなみに、筆者がEVでドライブ旅行に出かける際は、小心者なので、充電設備のある滞在先を選ぶようにしている。ホテルのチェックインは午後3時が一般的で、翌朝の10時、11時のチェックアウトまで充電すれば、ほぼ満充電で帰ることができ、帰路も安心だ。最近では、リゾートホテルはもちろん、愛犬と泊まれる宿にもEV充電設備が用意されていたりする。

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