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伝説の釣りガイドに会いに荒野を爆走! 遭難と燃料切れの恐怖を乗り越えた先に待っていたのは…まさに天国!【豪州釣りキャンの旅_11】

アウトバックらしくなってきた

リッチフィールド国立公園からダリー・リバーへ

オーストラリア・ノーザンテリトリー州でトヨタ「ハイラックス」ベースのキャンピングカー、アポロ「キャンパーバン」をレンタルして、釣り人としてバラマンディの大物を狙う23日間の旅をレポート。仲間と男3人でフィッシングを満喫するという旅の前半は終了し、次の1週間はノーザンテリトリーの国立公園を一人旅して徐々に南下するプランで、リッチフィールド国立公園からダリー・リバーを目指します。

伝説的なバラマンディ釣りのガイド、ペリーさん

次の日の目的地は決まっていた。ダリー・リバーである。

イーストアリゲーター・リバーでの釣りが、ボートの故障で途中キャンセルになったとき、近くのキャンプサイトの人が「どうだった?」と話しかけてきた。「まあまあでした」と言葉を濁すと、「オレは、先週、大きいのを釣ったよ」という。自慢げに見せられたスマホの画面には、70cmオーバーのバラマンディが何尾も写っていた。驚いて、「どこですか?」と聞くと、「ダリー・リバーだよ。知ってる?」と答えた。

じつは、ケンさん、キクと別れた後のひとり旅で、ダリー・リバーが候補になっていた。なぜかといえば、信頼する『ロンリー・プラネット』に「ダリー・リバーのペリーは、伝説的なバラマンディのガイドである」という一文があったからだ。このハイシーズンに飛び込みで行ってガイドを頼める確率は低い。これまでの3人のガイドは、何カ月も前に連絡をして、なんとか確保したという経緯がある。でも、できれば伝説のガイドと会って話をしてみたい。そういう願望があった。

しかし、その後のスケジュールを考えると、ダリー・リバーはかなり遠回りになる。それで躊躇していたというわけだった。しかし、大きなバラマンディの写真を見せられた瞬間に、「ダリー・リバーに行く」と、気持ちは固まったのだった。

公園内からの近道はオフロード、はたして行けるのか?

リッチフィールド国立公園のキャンプ場からダリー・リバーへ。ナビの推奨は、リッチフィールドの玄関口、バチェラーまで戻り、大回りする300kmのルートだった。しかし、公園内の地図を見ると、まっすぐ南下する道がある。これを利用すれば、おそらく200kmは節約できる。

なぜ、そのルートがナビに出ないかというと、オフロードだからだ。これまでも何度か4駆走行はしてきたが、「ザ・アウトバック」というほどタフな道ではなかった。できれば、もう少しハードな走行も体験してみたかった。

どの程度のオフロードなのか?「アポロ号」でも行けるのか? 誰かに聞いてみたいと思っていたら、キャンプ場の入り口で作業をしている人がいた。いかにも、4WD野郎という風体のいかつい男である。

「すみません。ダリー・リバーに行きたいんですが、この道は通れますか」

地図を見せると、「ああ、この道ね。君のクルマだと、ちょっと車高が高すぎるかな」。彼は、アポロ号のルーフを見上げた。「岩に乗り上げてロールしたときに、張り出した木の枝がルーフに当たると思うよ」

どうやら、想像以上の悪路のようだ。

「それから、川をいくつも越えるけど、なかには大きな岩が鋭角に入っていて、かなり傾くから、車高が高いと横転する危険性があるんだ」

あわわわわっ! 川で横転などしたら万事休す。これは無理そうだ。

「ちょっと待てよ、あの道は、今、閉鎖されているんじゃないかな」

「分かりました。ぐるっと回ります!」

いつまで走ってもひたすら荒野……

ダリー・リバーのペリーズ(Perry’s)に向かって、ひた走る。ノーザンテリトリーの大動脈、スチュワート・ハイウェイをひたすら南下すると、ようやく「ダリー・リバー・クロッシング」のサインが出た。アメリカではクロッシングは「交差点」の意味だが、オーストラリアでは「橋、または川を渡れる道」を指す。さあ、もうすぐだ!

しかし、最後の分岐を曲がってから、いくら走っても荒野が広がるばかりだ。携帯の電波はすぐに届かなくなり、15分に1台ほど、対向車がポツンと来るだけ。本当にペリーズに着けるのだろうか? 心細くなった原因はもうひとつあった。燃料の残りが半分近くになってきたのだ。もし、この先に何もなければ、引き返さなくてはならない。引き返した先のガソリンスタンドまでの燃料は残しておきたい。

あと10分走って何もなければ、考えよう。

そう思って走っていると、ありました!「PERRY’S ON THE DALY」のサイン! これで大丈夫だ!

ほっとして右折すると、そこから道はアンシールド(未舗装路)に。ラフなオフロードを走ること20分、ようやく伝説のガイド、ペリーが営むキャンプ場に到着した。

そして、腰を抜かした。こ、これは……!

そこには天国のように美しい、素晴らしいキャンプグラウンドが広がっていた。

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