木製フェラーリ1/6モデルを作るオーナーが乗る実車とは
「馬が群れる」と書く群馬県は、跳ね馬のエンブレムを持つスーパーカーの生息数が多いといわれています。フェラーリのみならず、ランボルギーニやポルシェを愛用しているオーナーも相当数いて、群馬では数多くの趣味車系イベントが開催されています。2024年6月に実施された「第1回 伊勢崎オートモービルフェスタ」も自動車趣味人が多い同地だからこそ行うことができた催し。今回は、フェラーリ「328GTS」オーナーのリアルな声をお届けします。
フェラーリを好きになったのはスーパーカーブーム全盛期のこと
バルサ材を用いたフェラーリ木製モデラーとして有名な山田健二さんは現在80歳。以前、群馬県の高崎シティギャラリーで開催された個展「フェラーリ 木製モデラー 山田健二の世界」を訪ね、その模様をAMWで紹介したことがあった。
モデラーとしての印象が強い山田さんだが、じつは2010年からフェラーリ「328GTS」を愛用しており、今回、「第1回 伊勢崎オートモービルフェスタ」の会場に乗ってきていた。
「私の誕生日が3月28日なんですよ。328シリーズは、まさにエンツォ・フェラーリが私のために製作してくれたクルマですね」
本気と冗談が半分半分といったトーンでそのように話してくれた山田さんがフェラーリのことを好きになったのは、昨日今日の話ではない。1970年代の中頃に巻き起こったスーパーカーブームの全盛期に魅せられたのだ。
定年前から木製フェラーリ1/6モデルの制作準備を進めていた
山田さんは当時勤務していたデパートの催事でスーパーカーショーを開催することになり、赤いフェラーリ「308GTB」と黄色のランボルギーニ「カウンタック LP400」を手配した。このときにランボルギーニではなくフェラーリの美しさや迫力あるサウンドに心酔し、それ以来すっかり跳ね馬好きになったのだという。
その後、タミヤ、フジミ、ハセガワといった模型メーカーがリリースしていたフェラーリを題材としたプラモデルを作るようになったが、生来の情熱がハンパないので売っている商品を全網羅! そのような熱き活動を経て、バルサ材でフェラーリの模型をワンオフで作るようになった。
なお、山田さんは仕事をリタイアしてからフェラーリ木製モデラーになったが、定年退職する前から「木で作ろう」、「軽くて加工しやすいにもかかわらず強度があるバルサ材を使おう」と、着々と準備していたそうだ。
14年前にフェラーリのオーナーに
1年に2台のペースで木製フェラーリを日夜コツコツ制作していったことにより、実車の世界におけるフェラーリの輪も広がり、ついにフェラーリオーナーになる機会が訪れた。
「個展を開催したりしたことでスーパーカーに乗っている知り合いが増え、ツーリングにお邪魔するようになりました。あるとき同行して軽井沢のカフェに行ったら、フェラーリ ディーノを買う人が328GTSを手放すので、それを買ったらどうかな? という話が出て、即購入。65歳のときに実車のオーナーになりました。
エンツォ・フェラーリが生きていた時代に生産されたクルマだけをバルサ材で模型にしていますが、私が購入したドイツ仕様の328GTSは1987年式なので、エンツォが存命中にデリバリーされたクルマなんですよ」
まったく旧さを感じない328GTSは故障も少なく、主治医(328を愛用)も近くなのでとても便利。GTSをGTBのように改造し、もしかすると世界に1台のクルマなのかも? とも話してくれた山田さんのフェラーリ生活は、90歳、100歳を目指し、これからも快活に続いていく。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)