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究極クロカン仕様の「ディフェンダー」がオークションに登場! ランドローバー界で有名なスペシャリストがカスタムした内容とは?

3万8000ポンド~5万8000ポンド(邦貨換算約730万円〜約1110万円)で現在も販売中のランドローバー「ディフェンダー 2.2 TDCI 4x4 Utility」(C)Bonhams

スペシャルな1台ではあるが……

2024年9月、英国の名門「ボナムズ」社が、イングランド南部ハンプシャー州ビューリーにある素晴らしい国立自動車博物館「ナショナル・モーターミュージアム」を会場として開いた「The Beaulieu Sale Collectors’ Motor Cars & Automobilia 2024」オークションに、2012年式のランドローバー「ディフェンダー 2.2 TDCI 4×4 Utility」が出品されました。熟練のスペシャリストたちの手によって仕立てられた、特別な1台のようです。

アルティメットエディションを自認するディフェンダーとは?

2024年9月に英国の「The Beaulieu Sale Collectors’ Motor Cars & Automobilia 2024」オークションに出品された、このユニークな2012年式ランドローバー「ディフェンダー」は、ランドローバーの世界では唯一無二と称されるスペシャリストがカスタマイズを手がけたユーティリティトラック。「アルティメットエディション(究極の仕様)」という言葉だけでは言い表せないほど、数多くの魅力的なアップグレードが施されている。

印象的な「エイントリー・グリーン・パールセント」に塗装されたこのディフェンダーにおいて、もっとも分かりやすいアップグレードのひとつは、17インチのディープディッシュ型モジュラースチールホイール。35インチのBFグッドリッチ社製オールテレーンタイヤと組み合わされ、幅広のオーバーフェンダーで覆われている。

また、カスタムメイドのツリースライダーやスノーカウルつきのエアインテークも装備され、持ち前のオフロード性能をさらに高めている。さらにヘビーデューティなリア・ドライブフランジ、リビルトブレーキとハブは、プレッシャーのもとでも信頼性を確保すると主張している。

エクステリアではフルキャンバスのソフトトップが装備され、キャビン内ではキルティングレザーのヒーター付きシートが張り替えられ、新しい安全ベルトとレザーのダッシュトリムが装備されている。このクラスのクルマに期待されるように、電動ウインドウやUSB/USB-C充電ポートも装備されている。

カーゴレールを備えたハードウッドデッキは、荷物を運ぶための頑丈な土台であると同時に、屋外で食事などをするためのプラットフォームとしても機能する。さらに木製フロアにはムード照明がさりげなく組み込まれているのは、いかにも今どき風といえよう。

メカニズムも完全武装しているものの……

華やかなルックスやゴージャスな側面も強調されるが、やはりこのディフェンダー・スペシャルの本質は、真のクロスカントリーカーのようだ。

「オールドマン エミュー サスペンション」社による2インチ分のリフトアップキットとポリウレタン製ブッシュの採用により、オフロード走行のための最低地上高が確保され、頑丈なステアリングバー、調整可能なパンハードロッド、新しいステアリングラックが、もっとも過酷な地形であっても正確なハンドリングを保証するという。

いっぽう2.2Lのターボディーゼル・エンジンは、中央のサイレンサーを削除することでさらなるパワーとトルクを発揮するとともに、野太いエキゾーストノートを奏でる。

またクラッチは強化され、フライホイールの再研磨、マスターシリンダーとスリーブシリンダーの交換なども施され、シフトレバーのふらつきを抑える「スリックシフト」も特別装着されている。

さらに、フロントバンパーに取り付けられた「テラフィルマ」社製ウインチには、補助キルスイッチと「C-tek」社製トリクルチャージャーが装備され、どんな回収状況や長期保管にも対応できるようになっている。

また、ウインドスクリーン上には50インチの「DLX50c」ライトバー、ボンネットの前には「ストルクス」社製 32インチライトバー、フロントバンパーの下には投光器など、照明系のオプションも最新のものが投入されている。

強気なエスティメートだったが……

これまでのオーナーは1人で、車両には「V5C」ドキュメントと包括的なサービス記録簿が付属している。サービスブックレットには多数の領収書と11個のスタンプが押印されており、現時点における最後のサービス日付は2024年6月2日で、走行距離7万8579マイル(約12万5730km)。いっぽう、最後のMoT車検証は2024年5月1日の発行で、その際の走行距離7万8568マイル(約12万5700km)となっている。

ボナムズ社の営業部門では、今回のオークション出品にあたって「この傑出したディフェンダーは、幸運な次のオーナーのもとで険しいトレイルへの挑戦でも、高速道路のクルージングでも、生涯の旅に同伴する準備が整っている」といういささか大仰なPRフレーズとともに、3万8000ポンド~5万8000ポンド(邦貨換算約730万円〜約1110万円)という、ランドローバーの深淵に触れる機会の少ないわれわれ日本人、ましてクロスカントリーカーの分野に疎い筆者などには計り知れないエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが2024年9月14日に行われた競売では、会場でもオンラインでも出品サイドの規定した「リザーヴ(最低落札価格)」には到達せず、残念ながら「流札」に終わってしまった。

いかに素晴らしいカスタマイズが施されていようとも、12万km越えのディフェンダーに対してはエスティメートが過大評価だったのか、それとも今回についてはたまさか顧客に恵まれなかったのかは定かではないのだが、それもまたオークションの妙……、ということなのだろう。

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