フェラーリなどに匹敵する最上のブランドへと進化を遂げた
2024年12月1日にRMサザビーズがドバイで開催したオークションにおいてパガーニ「ゾンダ LMロードスター」が出品されました。2009年のジュネーブ・ショーで初公開された5台のみの限定車「チンクエ」をベースとした、ワンオフの「760」シリーズに属するモデル。車両の概要とオークション結果についてお伝えします。
ドバイ・オークションは41台プラスアルファで売上高約41億7950万円を記録
RMサザビーズにとって2024年最後のイベントとなる、11月23日のドバイ・オークションが終了して数日、彼らから届いたプレス・リリースを見た時の衝撃を、どのように伝えればよいのだろうか……。
ちなみに2024年のドバイ・オークションに出品されたクルマは41台。ほかに若干のオートモービリア(自動車の趣味に関連する時計やミニカー、ポスターなどのアイテムなど)を加えてもそのサイズは、けっして大きなものではない。71%という落札率もさほど大きな話題にはならないだろう。
1例として8月にアメリカのカリフォルニア州で開催された、ペブルビーチ・オークションのリザルトを振り返ってみれば、出品台数はトータルで204台。成約率は87.25%という数字であるから、その規模の違いは鮮明だ。
驚いたのはその売上高で、ペブルビーチが1億6120万ドル(邦貨換算約235億7900万円)であったのに対して、ドバイも2791万ドル強(同約41億7950万円)を記録している。はたしてRMサザビーズは何のモデルでここまでの売り上げを達成することができたのか。それは2台のパガーニにほかならなかった。
唯一無二のゾンダ LMロードスター
ドバイ・オークションに出品されたパガーニは、1台が2014年式の「ゾンダ LMロードスター」、そしてもう1台が2017年式の「ウアイラ BCクーペ」だった。今回紹介するのは、その中でも1108万6250ドル(邦貨換算約16億6017万円)という驚異的な価格で落札された、ゾンダ LMロードスターの方だ。ちなみにウアイラ BCクーペもその人気は高く、落札価格は433万6250ドル(同6億4935万3400円)を記録。パガーニの作はすでに自動車としての価値とともに、芸術品としての価値さえもが見出されてきた。そのような印象を受けたリザルトだった。
インターネットはもちろんのこと、電話でも多くの入札が繰り返されたゾンダ LMロードスターは、2009年のジュネーブ・ショーで初公開された5台のみの限定車「チンクエ」をベースとした、ワンオフの「760」シリーズに属するモデルだ。
ロードスターというサブネームを掲げることからも分かるように、LMにはクーペ仕様も存在し、いずれもヘッドランプやリアウイングの形状などで、ほかの760シリーズとは容易に識別することができる。リアウイングは「ゾンダ レボリューション」のそれからインスピレーションを得たもので、もちろん車体各部のデザインを最適化することで、より魅力的なエアロダイナミクスを得ている。
パガーニにとってワンオフモデルの製作は、現在では非常に重要なビジネスのひとつとなっているが、そのすべてはカスタマーとオラチオ・パガーニとの間で進められる詳細な交渉から始まるのは当然のことだ。このゾンダ LMロードスターを落札したカスタマーも、あるいは新たなアイデアとともに、再びイタリアのパガーニ社を訪ねることになるのかもしれない。
前に触れたウアイラ BCクーペは20台限定のサーキット走行限定車。その価格は同モデルのオークションでの落札価格としては今回世界最高額を記録したことを、最後に報告しておこう。自動車オークションの世界において、すでにパガーニというブランドは、フェラーリなどに匹敵する最上のブランドへと進化を遂げたのかもしれない。今後のオークション動向には大いに注目したいところだ。