JLRが自動ロボット「ルディ」を導入
ジャガー・ランドローバー(以下JLR)は、自動ロボット「ルディ」をドアの耐久性と品質のテストに導入しています。ルディは12週間にわたるサイクルでドアの開閉を8万4000回実施し、車両が承認される前に車両の生涯使用を再現するドア使用チェックを行います。このドア開閉ロボットの役割について紹介します。
マイナス40度の環境下でドア開閉の耐久性テストを行う
JLRは、英国のゲイドン・エンジニアリングセンターに次世代の高級車開発に向けて2100万ポンド(約41億)を投じたテスト設備を導入している。そのなかでも今回紹介するのは、自動ロボット「ルディ」だ。
ルディは北極の平均気温であるマイナス40℃という極寒の環境下で、ドアの耐久性と品質をテストする重要な役割を担っている。12週間にわたるテストサイクルでは、ドアの開閉を8万4000回繰り返し、車両の生涯使用を再現する。これは、人間が週3回ジムでウエイトトレーニングを17年以上続けるのと同等の負荷に相当する。またルディはカリフォルニア州デスバレーの日中の気温に匹敵する82℃の暑さにも耐えることができるという。
ルディは車両のドアの開閉テストを担当し、開閉時の音や振動、パネルのアライメント、ヒンジやロック機構の剛性を分析する。テスト中、ルディは車両と対話しながら最も過酷な気温でもドア機能が機能することを確認する。
JLRのコンポーネント&システム・テスト・マネージャーのトーマス・ラブ氏は、このようにコメントしている。
「ドアは顧客が車両と最初に接する部分です。そのため、この体験が私たちのモダンラグジュアリー基準を反映するよう製造されることが重要です。寒暖の温度変化における開閉方法方法からドアが閉まる音まで、当社の車両のドアのすべての要素が使用期間全体にわたって洗練され、信頼できる状態を保つことが重要です」
AMWノミカタ
仮に1日に自動車のドアを10回開閉するとして、それを10年間続けるとその回数は3万6500回となる。8万4000回の開閉テストの回数が他車のテストに比べて特別多いかと言えばそれほどでもない気がするが、マイナス40℃から80℃の環境で稼働できるロボットを持っているということは、さすが世界中の道を知り尽くしているJLRといわざるを得ない。
数十年前の話だが、ドイツのプレミアムブランドのエンジニアに「ドアの開閉音」だけを研究しているスタッフがいると聞いて驚いた。トーマス・ラブ氏の言うように、ドアはブランドに触れる最初の重要なパーツである。機械的な「信頼」とともに「洗練の追求」や「エモーショナルな感動」がモダンラグジュアリーブランドのクルマの各パーツには当然求められてくる。今後もルディ君の働きで顧客に感動を与える、より良い製品になることを期待したい。