もはや乗用車!? ホンダが作った本気の軽トラ
ホンダ「アクティ」は、1963年に登場した「T360」から始まり「TN360」「TN-V」「TN-7」と続いた由緒正しきホンダの軽トラとして、1977年に発売されました。エンジンが車両の中央付近に配置されるミッドシップレイアウトを採用。荷台までフレーム一体式のモノコック構造など、その後に登場する「NSX」の先駆けのような作りにより、ファンも多いモデルです。
バイク仲間の影響で旧車好きに
2024年9月22日に佐賀県鹿島市浜町のJR九州肥前浜駅前で開催された「オールドカーIN肥前浜駅」に参加した“ヒロト”さんが所有するホンダ「アクティ」は、1978年式。46年も前の車両だけに、車体の程度は年式相応。しかし、オーナーの“ヒロト”さんは1998年生まれの26歳。愛車より20年も若い、Z世代の旧車乗りだ。
「本当はメインカーの日産 330型セドリックでイベントに参加したかったのですが、昨日からの豪雨で道路がだいぶ汚れていたので諦めて、セカンドカーのアクティで参加しました」
生家が養豚場を経営していることもあり、生まれた頃から家にはトラックがあったという“ヒロト”さん。しかも、クルマ好きの父と兄の影響により、家には年間購読していた某デコトラ雑誌もあったため、それが絵本替わりに。そうなるともちろんトラックへの興味は増すばかりで、気付いたら、立派なデコトラ大好き少年へと成長していた。
「でも、実際に大型トラックを購入してデコトラに仕上げようと思ったら、相当の資金が必要でハードルが高いので。普段はトラックドライバーをしているので運転は仕事で楽しみつつ、プライベートではこれでも面白そうかなと思って、このアクティを購入しました」
16歳で乗り始めたバイクの影響で、旧車への興味が倍増
幼少の頃からのクルマ好きは、18歳でのクルマ免許取得以前に、16歳でのバイク免許取得がひとつのターニングポイントになることが多い。“ヒロト”さんもそのタイプだったようで、ホンダ「エイプ50」を手に入れてカスタムなどを楽しんでいたことがきっかけで、バイク仲間の交流が拡大。そこからバイクもクルマも古い車両の情報が入ってくるようになり、いつしか自分も旧車に乗りたいという思いを募らせていった。
「バイクに乗る前は、トラック以外ではいわゆるVIPセダンが好きでした。しかし、あるタイミングから旧車が欲しいと思うようになり、結果的に初めての旧車が1年半ほど前に手に入れたこのアクティ。そして、半年ほど前に330型セドリックを購入したのです」
このアクティとの出会いは、バイクツーリングがきっかけ。一緒に同行していた仲間の知り合いの所に寄ってみたら、この車両があったのだ。その方はマツダ「ポーターキャブ」も所有しており、このアクティを譲ってくれるということで、購入を即決。車検切れだったため、整備をして無事公道復帰。とくに大きなトラブルもなく、デコトラのイメージで、シャンデリアと天井にチンチラを張り付けて楽しんでいる。
もう1台の愛車、330型セドリックも即決購入
ちなみに、メインカーである330型セドリックも、同様に知人の紹介がきっかけ。そちらも即決で購入しており、欲しい旧車に関しては、躊躇なく手に入れていくタイプだ。“ヒロト”さんは、バイクに関しても、ホンダ「シャリィ」やヤマハ「パッソーラ」など、ご本人の年齢とは対照的な古い原付の愛好家。こちらもすでに20台弱を所有しているそうで、クルマ好きの家族からも、もはや飽きられているレベルにあるとか。
「アクティもセドリックも原付も全部そうですが、古い車両って一度手放してしまうと、なかなか手に入れにくいじゃないですか。なので、良い話が届いたら、できるだけ購入している状態です。そして、自分は手放さないからどんどん増えていく。欲しい車両は、なかなか買えない希少車ばかりなので、どうしても買っておきたい性格なのです(笑)」
“ヒロト”さんの話を実現するには、もちろんそれなりの資金力も必要。そのため彼は、憧れたトラックドライバーに従事して、そこで得られた対価を元に、憧れの旧車を集め続けている。正しき日本のクルマ好きの若者なのだ。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)