インドアカーショーの主催者はカーチームだった
関東や東海地区では、さまざまなカスタム系カーイベントが屋内会場で開催されています。しかし、九州地方での同様のイベントは久しく実施されていませんでした。そのような状況の中で、突然立ち上がったイベントがこの「C.C.C Create a Car Culture」です。しかも、主催は主要イベンターやプロショップなどではなく、カーチームによるもの。さまざま々なハードルを乗り越えて、無事開催に漕ぎつけた第1回の模様をお届けします。
クルマのカスタム文化を盛り上げるために
「北九州市でインドアのクルマのイベントが開催されるらしい」、そんな噂を耳にしたのは、まだ真冬の2024年2月の頃だった。九州地方で開催されていたカスタム系のインドアカーイベントと言えば、2001年から2009年に福岡ドーム(現在はみずほPayPayドーム)で開催された福岡オートサロン。それを引き継ぐ形で2010年から2017年まで開催されたのが、福岡カスタムカーショー(2024年10月に“九州カスタムカーショー”として復活)だった。これらは、ドレスアップからチューニングまで、日本発祥のメーカーやショップが主導の大イベントだった。
一方で、ピックアップ、ホットロッド、アメ車全般などの4輪と2輪の展示を融合した「F.T.W. show」が、九州地区でのアメリカンスタイルのインドアイベントの先駆けだった。しかし、こちらも2007年から2017年までの開催で、その後は休止状態となっている。
オンシーズンになると毎週末、ジャンルに関係なく小規模のミーティングやイベントなどが九州各地で開催されているものの、インドアイベントは皆無。しかも、カーチーム主催ということが、「C.C.C Create a Car Culture」の注目すべき点であり、実際、地元のユーザーたちからは最初の告知段階から、高い注目を集めていたことは間違いない。
若い世代が中心となって旬の最新カスタムスタイルを発表
「C.C.C Create a Car Culture」の特徴は、2010年代以降に急激に盛り上がってきた、日本発祥のシャコタン&チューニング文化の逆輸入版の車両が主流となっていることだ。
ちょっと分かりにくい書き方になっているが、説明すると「日本のクルマ文化が好きでそれを尊敬している海外のユーザーが、現地で楽しんでいた日本車の改造スタイル、通称“JDM”を、源流のはずだった日本人がそれを模倣し楽しんでいる改造文化」ということになる。
しかも、アメリカ発祥のカーイベント&ブランドであった、「Stance Nation(スタンスネイション)」、「WEKFEST(ウェックフェスト)」、「AUTO FASHION(オートファッション)」などが、日本でも開催されるようになった事も重要だ。
これをきっかけに、日米融合のイベントが多く誕生。その結果、ちょっとオシャレで若い世代が興味を示す、いい意味でカテゴライズされない総合カスタムイベントが流行。そしてこの「C.C.C Create a Car Culture」も、そのひとつに当てはまることになる。
総合イベントであることは、用意された10種類のアワードが象徴している。グランプリを筆頭に、セダン、スタンス、オールド、クーペ、カスタム、SNS、ワゴン、ユーロ、USDMと、賞典内容からも、多様な車種が参加して楽しめることを物語っていた。
九州地区で久しぶりに復活した屋内イベントの価値
このイベントはその内容だけではなく、屋内で開催されたという点にも着目したい。場所は、北九州市にある小倉駅のすぐ目の前にある西日本総合展示場。ここは、前述した福岡カスタムカーショー(2017年)や、ローライダーカーショー(2008年)、F.T.W. showのファイナル(2017年)が開催されていた、地元では有名な会場だ。そして、おそらくこの2017年を最後に、大きなクルマのカスタム系イベントは実施されていない。
主催者であるWEEKENDは、この会場を借りるために発生するさまざまなハードルをひとつずつ乗り越えて、2024年9月15日のイベントを迎えたことになる。イベント運営に関して、決してプロフェッショナルではないクルマ好きの集まりが、「九州を盛り上げたい!」という思いだけでこの会場でこの規模のイベントを開催した事実は、称賛に値するのではないだろうか。
「初めての開催だったので、いろいろとご迷惑をおかけしたかもしれません。でも、お客さんとスタッフ、みんなで力を合わせて、大きなトラブルもなく、このイベントを運営することができました。これだけたくさんのお客さんが来てくれたので、すでに次のことも考えています。また皆さんの力をお借りすることになると思いますが、次回も成功させたいと思います!」
主催者代表の鶴岡さんは、最後にこのようなコメントを残していた。表彰式後の挨拶で壇上に上がった運営メンバーの安堵感と、それをあたたかい拍手で迎えた参加者や来場者。そこに、このイベントに対するクルマ好きたちの、たくさんの感謝の声が聞こえたような気がする。