若年層にトヨタを意識させるために生まれたWiLLシリーズの第1段
2000年から2002年にかけて、トヨタでは「Vi(ヴイアイ)」「VS(ヴイエス)」「サイファ」と呼ばれる「WiLL(ウィル)」シリーズの3車種を発売しました。これは若者のトヨタ離れを危惧した当時の同社社長、奥田 碩氏が主導した仮想企業バーチャル・ベンチャー・カンパニーの発案によるもの。若年層に支持されるブランドを創造するべく、花王、アサヒビール、近畿日本ツーリストといった一流企業各社が「WiLL」という統一名称と「遊びゴコロと本物感」というテーマのもとに商品を企画販売した一環で、ある意味希少な3車種なのです。
誰も選ばないベース車で、独自の世界観を目指す
トヨタ「WiLL Vi(ウィル ヴイアイ)」をカスタム系のイベントで見るのは、非常に珍しい。それだけに、この足まわりを中心にカスタムが施されたローダウンのWiLL Viは、「C.C.C Create a Car Culture」の会場内でとても目立つ車両だった。
オーナーの立山拓人さんがこの愛車を入手したのは、3年ほど前のこと。いろいろなクルマが好きで、トヨタ2代目30型「ハリアー」でJラグを楽しんだり、現在も11代目17型後期「クラウン アスリート」「セルシオ」は初代と3代目の2台。そして、レクサス「SC430」も所有しているそうで、WiLL Viは「サクシード」からの乗り換えだという。
「カスタムするとカッコよくなるかも? というのが、WiLL Viを選んだ理由です。子どもの頃は変な形だなと思っていたんですけどね(笑)。値段が安かったのですが、女性のワンオーナー車で走行距離も6万kmほどと、状態のいい個体でした」
空冷ビートルのような可愛らしさを目指して
WiLL Viの生産は、2000年1月から2001年12月の2年間のみ。しかも約1万5000台の販売で決して売れたクルマではなかったため、カスタムするにも社外品はほぼ無い状態。
「パーツが無いのは最初から覚悟していました。そのため、エアサスは各部品を自分でセレクトしながら組み、ホイールセンターキャップも100均のステンレスカップを流用しています(笑)。基本的に、1960年代のフォルクスワーゲン タイプ1、空冷ビートルをカスタムしたような雰囲気を意識しています」
エアサスとエアバッグはロームエアー。その他のコンプレッサーや各部品は立山さんのオリジナルセレクト。ホイールは13インチ設定のKブレイク製鉄チンで、タイヤもイメージ通りのホワイトリボンを装着している。ミラーはホンダ「アクティ」用のカリフォルニアミラーを流用し、このスタイルを完成させている。
「WiLL」シリーズが唱えていた「遊びゴコロと本物感」というテーマは、20年以上の時間を超えて、こうして素晴らしいカスタムの素材として生き延びているのだ。
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